盛田隆二著 角川文庫出版
昨日のこと。
夜、無性に、大好きな少女漫画「天使なんかじゃない」を読みたくなって、本棚を探したところ、実家にあることに気づき、ふと目にとまった「夜の果てまで」という小説を読み始めた。
まぁ、恋愛ものが読みたかったんでしょうね(笑)
この本は、結構前に本屋で本のカバーに惹かれて衝動買いしたものです。
読んでみると、主人公の名前が友人と同じという点、主人公のなりたい職業が新聞記者(ジャーナリスト)という点、主人公の出身地が鹿児島という点と、いくつか自分との関連点があって、読むべくして手にした本なのかな?なんて思いました。
ストーリーは、夫による妻の失踪宣告申立書から始まり、失踪した妻裕里子と北大の学生である俊介の出逢い、駆け落ちと昼ドラのような感じです。
ドロドロな筋なのに、俊介と裕里子の恋愛があまりに純粋で、ねっとりと心にヘドロが残るというよりむしろ、天気が良い日の風のような爽やかさ(ちょっと、言いすぎかな?)を感じられる流れでした。
話の中で、どの主要人物も自分の選択に曖昧さがあります。
その点にいらいらさせられる小説でもありました。
でも、いらいらするってことは、嫌いな相手の嫌いな部分は自分にも当てはまるからだ、というように、自分にもそんな部分があるからかもな…と思います。
この小説の関心する点は、描写。
視点は、俊介と裕里子の義理の息子、正太で書かれています。
俊介が、せっぱつまって決断を迫られているときに、自分の就職のことを考えていたりする。
人間の思考ってそんなもんですよね?
私も、デート中にその前にしていた作業のことを考えていたりする(笑)
無意識にそうやって人が考えていることを意識化して書き出しているところに、おもしろさを感じました。また、これによってフィクションである小説の登場人物を、現実に引き寄せていると思いました。
魅力的なのは、裕里子の息子である正太のキャラクター。
中学3年で、実母は精神病、義理の母は駆け落ち、という中で、親のようになりたくないと、必死に真っ当に生きようとしている。
煙草は吸うし、シンナーは吸うけれど…(笑)
彼が大人たちに発する言葉は、大人たちより全然まともで、親がダメだと子はしっかりするよなー、なんて思いました。
長編小説であるため、読むのに時間がかかるので、読むことはあまりオススメしませんが、この正太という人物に出逢うことが出来るという点で、そーしても暇なときに読んでもいいかもって思う、そんな小説でした。
小説なんて、たぶん2年ぶりくらいに読んだー。
結構、いいもんですね。
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