プロフィール

Eliseliselise

Author:Eliseliselise
映画やら本やら何やらをヒヒョウ
このBlogを見て、好きな映画や本に出会っていただけたら
是、幸い!!!

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

FC2ブログランキング

--/--/-- (--) --:--
スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2007/12/08 (Sat) 06:53
世界はときどき美しい

秀逸に表現された「世界」と「美しい」

世界はときどき美しい


 世界は美しい。我々は日常の中で、常にそのようなことを感じたりはしない。“ときどき”ふとそんなことを思う。そしてそんな瞬間から、生きることを好きになったりする。「世界はときどき美しい」は、そんな日常の中で「美しい」「世界」をふと感じる時間を、5つのショートストーリーで映像化した作品である。この作品は、ストーリー性があるわけでなく、特別でもないが、秀逸だ。それを思わせるのは、5つのショートストーリーの「世界」と「美しさ」である。
 
5つのストーリーは、一人の主人公のモノローグ(一人語り)によって詩的に構成されている。そのそれぞれの「世界」は、絵描きのヌードモデルをしている女が、道端の雑草を近くにあるのに遠く感じるという「世界」。初老の男が日々を過ごす、バブル崩壊前を思わせるような大阪の酒場という「世界」。ごくふつうの若い女性が、恋人と体を重ね合わせる情事の「世界」。天文学者の若い男性が生活する、宇宙の惑星のひとつである地球のある地点という「世界」。そして、一人暮らしの若い女性が帰る実家の存在という「世界」である。どのストーリーの「世界」も、ある特定の個人が生活の場とするありふれた「世界」だ。
 
 このそれぞれの人々の生活する「世界」の中に、多様な「美しい」が埋め込まれている。ヌードモデルの女の話では、その女の特殊な仕事とは相容れない道端という空間で目にする雑草に、不思議な遠近感を感じるという感覚の「美しい」。初老の男の話では、男の飲む酒、男の行く銭湯、男の小便、街を流れる川という流体と男の生活をクロスさせ、過ぎ行く毎日を表す「美しい」。男との情事を過ごす女の話では、情事をする男と女の肌を映す光とその部屋の道しるべとして出てくる自販機の明かりとのコントラストの「美しい」。天文学者の男の話では、男とその恋人の間に授かる新しい命を、宇宙の生命体のひとつである人間の生命と表すレトリックな表現の「美しい」。そして、一人暮らしの女性の話では、その女性に名前があり、彼女の生活するまわりの全てのものそれぞれに名前があり、それは取って代えようのないものであるという、ヴィトゲンシュタインの言語分析を彷彿させる哲学的な思想の「美しい」が描かれている。
 
 この5つの物語中の、それぞれの主人公の持つ生活、世界観、そしてその中の何に「美しい」を見出しているのか。それを監督は、自身が「美しい」と感じる「世界」と他人が「美しい」と感じる世界の間に存在するギャップを認識しつつ、その中で共有しうる「美しい」「世界」を、8mmカメラという特殊な撮影方法をもって、緻密に、そして誠実な姿勢で、映像、音楽、言葉を用いて表そうと試みた。この一つ一つの詩的な物語5つが組み合わさることによって、単なるショートストーリーの羅列ではない「セカイ」が出来上がっている。このようにして秀逸に表現された「世界」と「美しい」で、見る者に日常に潜む生きることを好きになる瞬間を、思い出させてくれる作品となっている。
スポンサーサイト

<< Cold Fever | ホーム | オレの心は負けてない >>

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。